(1)相続放棄をした家に住む場合の権利関係
あなたが父親の相続放棄をすると、あなたは相続人でなかったことになりますので、相続権は次順位の相続人に移ります。例えば、あなたが相続の放棄をした結果、順位が移り、被相続人の兄弟(あなたから見て叔父さん)が家を相続した場合、あなたは叔父さんの家に住んでいるという状態になります。あなたがそこに住み続けることができるかは叔父さんとの話し合いになります。
しかし、住んでいる家があるのに、相続の放棄をするというケースでは、借金などがあるため、兄妹も含めて全員が相続の放棄をしているケースがほとんどだと思います。
相続人の全員が相続の放棄をして、相続人が不存在の状態になったとき、家は、相続財産管理人の管理に置かれ、管理人の指示に従って、退去せざるを得なくなります。
例外として、相続の放棄をしても家を持ち続けることができる場合があります。
それは、相続財産管理人から買い取るという方法です。相続財産管理人は、高く買い取れる人を探し、その人に売却し、代金を債権者に配当します。あなたが他の希望者より高く買い取れれば、家を取得することができます。
なお、売却の判断は相続財産管理人にあるため、100%買い取れるという保証はありませんが、人口減少が進む地方などでは、買い手がおらず、親族が買い取れる可能性が高いです。
(2)相続放棄と生命保険金は両立可能
相続放棄をすると、あなたは相続人でなかったことになりますので、遺産を受け取ることはできなくなります。
しかし、生命保険金は受取人に帰属する固有の財産ですので、遺産ではありません。
したがって、相続放棄をしたとしても、あなたが受取人であれば、生命保険金を受領することができます。