弁護士が教える
正しい相続の知識

KNOWLEDGE

弁護士が解説する特別受益の具体例(不動産編)

遺産分割 2017.09.25

1 特別受益とは?

特別受益とは、生前に被相続人から贈与を受けた場合に、その贈与を遺産の前渡しと見て、贈与を受けた者の遺産の取り分が減額される金額のことです。
故人の不動産の処分・管理について、どのような場合に、特別受益が認められるでしょうか。

2 不動産に関する特別受益の具体例

(1)生前に土地や建物を贈与しているケース

生前に、故人から、土地や建物の贈与を受けて、名義変更をしていた場合、その不動産価額が、特別受益の金額になります。

(2)建物を無償で使用させている場合

生前に、故人名義の建物を無償で使用させ、故人と同居している場合には、特別受益とは言えないことが多いです。それは、一緒に住んでいるだけでは、遺産の前渡し(遺産の減少)とは言えないからです。
また、相続人が単独で生活している場合も、よほどの収益物件でない限り、遺産の前渡し(遺産の減少)とは言えず、特別受益とは言えないことが多いです。

(3)土地を無償で使用させている場合

故人の土地に相続人が建物を建築していた場合には、多くの場合、建物を取り壊すことは困難で、当該遺産の土地は、使用貸借契約付きの土地となります。つまり、相続人が、故人から、無償で土地を使える権利(使用借権といいます)を設定してもらった、ということになります。その権利の価値だけ、土地の価値は下がり、反対に、建物の価値は上がっているので、遺産の前渡しをしたと見ることができます。
したがって、使用借権の価値だけ、特別受益となります。
なお、地代相当額が特別受益となるという主張がされることもありますが、一般的には、地代収入を故人が望んでいなかった以上、遺産の減少はなく、地代相当分が遺産の前渡しとは言えないことから、これは、認められていません。

4 持ち戻し免除の意思表示があれば、特別受益ではなくなる

持ち戻し免除の意思表示とは、遺産の前渡しと見られる財産の処分であっても、生前の贈与は考慮せずに、遺産は、残ったものだけを平等に分ければいいという故人の意思表示です。
これが認められる場合には、生前の贈与を考慮せず、形式的に残った遺産を分配すれば足ります。
不動産の生前贈与や、無償使用があったとしても、例えば、不動産を前渡しすることで、家業を手伝ってもらおうとしていた、又は、面倒を見てもらおうとしていたなどの事情があると、この持ち戻し免除の意思表示が認められる可能性があります。

5 チェックポイント

不動産の処分・管理について特別受益が問題となるケースは少なくありません。特別受益に該当するかの判断にあたっては、次の2点を検討すると良いでしょう。

①財産の処分が、遺産の前渡し(減少)と言えるか

②遺産の前渡しと言えたとしても、持ち戻し免除の意思表示が認められるか

特別受益の詳しい記事はこちら