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相続の放棄をした土地や建物の権利関係は?自治体による管理の可否を解説

土地・建物の相続 相続の放棄 2017.09.11

管理者が現れるまで放棄者の管理が続く

相続人となる人の全員が相続の放棄をした場合の状態について、法律では次のように取り決めがあります。

民法940条

「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。 」

この法律は、放棄をしたとしても、次の管理者が管理を始めるまで、管理を継続しなければならないことを定めています。

もし、この管理をやめたいのあれば、相続財産管理人という専門家を裁判所に選んでもらい、その管理人に財産を引き渡す必要があります。相続財産管理人とは、遺産を換価し、換価した金銭を債権者に分配し、残額があれば、国庫に帰属させる業務を行う人です。

放棄を行えば、自動的に自治体や国が管理をするという考えは誤りです。

自治体は管理を行いません。空き家の解体などを行政が行うための空き家条例といわれる条例が各自治体にはありますが、解体費用などの予算措置が十分でないことや、まずは放棄者が管理を継続する義務があることから、自治体が管理を行うことは稀です。

相続財産管理人選任の手続き

管理人の選任は、利害関係人又は検察官が家庭裁判所に申し込まないと始まりません。

もし、あなたが管理を免れたいのあれば、あなたが申し込みをする必要があります。

売れない土地などは、管理人が選任されても売れないことが多く、その管理のために、管理人の費用・報酬を、申込者があらかじめ裁判所に納付する必要があります。

つまり、放棄をしたとしても、管理人を選ぶための費用を放棄者が納めないと、管理義務が消えないという関係になります。

近隣者との関係も

相続の放棄をしたとしても、近隣者の多くは、事実上、相続人に管理を求めてきます。

相続の放棄をしたとしても、簡単に縁が切れるということはありませんので、もし、借金などがないのであれば、放棄の判断は慎重に行うべきです。

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