1 特定の親族に遺産を多く渡す方法
生前に渡してしまう方法と、死亡時に多く分配する方法があります。
(1)生前の贈与
まず、生前の財産贈与は、母親とあなたの2者で贈与契約をすれば成立するので、贈与税に注意して、少しずつ財産を移す方法があります。
このときの注意点としては、「持戻し免除の意思表示」をしていないと、のちの遺産分割協議の際に、結局、生前に多くもらった分を引かれた金額が具体的相続分となってしまい、贈与の意味がなくなります。持ち戻し免除の意思表示とは、生前贈与は、のちの遺産分割協議のときには考慮せず、残った遺産を法定相続分に従って分けるという被相続人の意思表示です。
(2)遺言書による贈与
次に、死亡時に多く分配するためには遺言書を作成する必要があります。遺言書で、例えば、遺産の8割をあなたに相続させる旨の遺言書を作成すれば、あなたは8割の遺産を取得することができます。しかし、ほかの相続人の遺留分を侵害している場合には、一部、ほかの相続人に遺産を返還しなければなりません。
ただし、遺留分を侵害していたとしても、遺言書がなにもない場合によりは、あった方が、あなたの取り分は増えますので、やはり、遺言書の作成は、多くの遺産を分配する手段としては有効な策です。
2 親族に内緒にする方法
これは大変難しい問題です。
生前贈与は、そのときは内緒にできますが、相続発生後は、ほかの相続人も、預貯金の引き落とし状況を調査することができます。したがって、のちに発覚する可能性は否定できません。
遺言書による分配は、その遺言書をほかの相続人に示す必要があるので、必ず、その内容が発覚してしまいます。