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家族信託とは?成年後見人や遺言との違い、解除の方法を解説。

成年後見・家族信託 遺言書・生前贈与 2022.07.18

家族信託とは?

家族信託とは、家族に財産を託して、託された家族が、家族間の契約で決めた内容に従って、財産を使用していく信託契約を意味します。たとえば、今は元気でも、将来、認知症などになって、銀行でお金をおろしたり、高額なものを売り買いしたりすることができないと困ります。金融機関も、年々、本人の意思確認が厳しくなっており、本人が銀行窓口に行かないと、お金の出し入れができないようになっています。

家族信託を設定していると、認知症になっても、家族の判断で、臨機応変にお金の出し入れができますので、老後の金銭管理がスムーズになります。

成年後見人との違いは?

成年後見人は、本人に代わって財産管理をする人を裁判所が選び、その選ばれた成年後見人が本人の財産を管理していきます。この後見人に家族が選ばれれば家族が財産を管理していくことができますが、財産が多いと、家族では不十分という理由で弁護士などの専門家が後見人に選ばれることが多いです。

 

弁護士は裁判所が選びますが、その弁護士の費用は、国の補助などはなく、本人の財産からの負担となります。また、成年後見人は財産や契約ごとの全てを管理していきます。成年後見人には近所トラブルから借金の対応まですべてを代理する権限があります。定期貯金など動かさない流動資産も管理していくことになり、報酬もこれらの財産額を考慮して、決定されます。さらに、一度裁判所が成年後見人を選ぶと、親族が成年後見人を変えたいと希望するだけでは成年後見人を変更することはできません。

このように、成年後見人制度は成年後見人ができる業務の範囲は広いのですが、家族間で財産を管理していきたいという希望がある家族にとっては、ややオーバースペックな面があります。

 

この点、家族信託は、報酬はタダと決めることもできますし、動かさない定期預金などは家族信託の対象から外すこともできますし、資産を託している家族を変えたければ、途中で変更することも、自分で管理するよう戻すこともできます。

なお、成年後見人とは、広く判断能力に不安な方をサポートする成年後見制度の中の1類型で、成年後見制度の中には、成年後見人ほどの業務量は不要な場合の保佐人や補助人という制度、さらに、本人が元気なうちに業務量や後見人候補者を決める任意後見という制度も含まれています。しかし、いずれも、何らかの裁判所の関与がある制度ですので、純粋に家族間だけで財産を管理していきたいという場合には、家族信託がおすすめです。

一方で、家族だけでは不安という場合には、専門家の報酬にご納得いただき、成年後見制度を利用していただくのがよいでしょう。

遺言書との違い

遺言書でも、家族名義に預貯金を移すことはできますが、それは死後のことになります。そのため、遺言書を書いているからといって、受け取りてが、生前に、財産を管理できるわけではありません。

家族信託であれば、生前から家族名義にお金を移して家族に管理してもらい、いざ自分が死亡したら、余っている預貯金を家族信託の契約で決めた割合で相続人に配当するという一連の流れが、裁判所などの関与もなく、家族だけで完結します。

 

家族信託の始め方

老後の財産管理を家族に任せたい場合、家族信託は、始めやすい対策の一つです。

家族信託は、多くの場合、弁護士や司法書士や行政書士が信託契約書という文書を作成し、この文書に従って金融機関に信託口口座という特別な口座を家族名義で開設し、本人の預金をその家族名義の口座に移すことで始まります。信託口口座は、家族名義ですが、そのお金の使途は本人の意思にそってのみ使うことができます。

また、資産を預けていた家族が先に亡くなった場合でも、家族はお金を預かっていただけですので、そのお金は家族の資産とは分離されて、相続の対象になりません。そのため、家族が先に亡くなっても、預貯金はスムーズに本人もしくは本人が指定した人物のところに戻ってきます。

弁護士法人サリュでは、死後の相続人間の調整だけではなく、生前の財産管理業務についても注力しております。

家族信託のご相談も無料で対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

なお、相続人間の調整を弁護士に依頼するメリットの記事はこちらをご覧ください。

家族信託の終わらせ方(解除の方法)

たとえば、家族信託を始めたけれど、家族が思うように管理してくれず、なりてもいない場合、家族信託自体に後悔するというケースもあるかもしれません。その場合は、家族信託をどうやって終了させたらいいのでしょうか。預金は、家族の信託口口座に入金されている状態です。

信託法164条1項という法律では、

委託者及び受益者は、いつでも、その合意により、信託を終了することができる。
と規定されています。
よくある認知症対策の家族信託の場合、「委託者」と「受益者」は、いずれも、本人のことです。財産を預かっている家族は、「受託者」という立場にあります。そのため、原則として、委託者が元気で自分の意思をはっきり伝えることができる場合には、本人が辞めたいときに本人の決断だけで元にもどせるよう法律で規定されています。ただし、家族信託は、あくまで契約なので、法律と異なる条件を最初に作成する信託契約書で決めることもできます。最初の契約書で、家族信託の終了の判断の条件として、家族の同意を求めているパターンもありますので、どのように取り決めるか考えて契約をしましょう。なお、特別の事情があれば関係者の同意が無くても、裁判所に信託の終了を決めてもらう制度も信託法165条で規定されています。
家族信託は継続したいけれど、今任せている家族を解任して、他の人に資産を管理してほしいという場合には、信託法58条で、解任の方法も規定されています。
このように途中で終わらせることができるという意味では、成年後見制度より、柔軟な制度と言えます。

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