遺産相続の流れ

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STEP01 | 亡くなった後に行う手続き

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「弁護士が教える葬儀費用と香典で遺産相続トラブルを避けるための記録・清算のポイント」

この記事の目次

1 葬儀費用とは?

葬儀とは、死者を悼む儀式、これに続く、遺体の火葬、火葬後の焼骨の埋蔵・収蔵等の行為です。
そして、葬儀の方法・形態を決める、葬儀を主宰する人を、慣習上、喪主といいます。
誰が喪主となるべきかについて、法律ではルールがありません。
第1順位の法定相続人である配偶者や子がなることが多いですが、家族関係によっては、それができず、被相続人の両親や、兄妹がなること、内縁配偶者がなることもあります。
葬儀の形式は、その家によってまちまちです。

葬儀費用には、遺体運送、棺桶その他祭具の購入、通夜・告別式の会場費、葬儀業者費用、お布施、火葬費用などが含まれています。
遺産分割をする際には、よく、これらの葬儀に関する費用、いわゆる葬儀費用の清算方法が問題となります。
葬儀費用については、遺産分割時に、遺産から支出するよう合意を形成していくことが多いですが、何の名目で、いくら払っているかが明確でないと、合意形成が困難になります。
葬儀業者からの明細書においては、できる限り、内訳を明示してもらいましょう。
また、お布施等の領収書が発行されなかった支払については、帳簿を作成し、いつ、いくらを支払ったのか記録に残しましょう。


2 香典はだれのものか?

葬儀の際には、葬儀費用だけでなく、香典の取り扱いも問題となります。
考え方としては、香典は、遺産に対して支出されるもの、相続人全員に共有として贈与されるもの、葬儀を主宰している喪主へ贈与するものといった考え方があります。
この点、裁判例では、香典は、喪主への贈与と考えられています。


3 葬儀費用や香典をどのように負担するべきか

一例ですが、まずは、香典から香典返しを控除した残額を葬儀費用に充て、足りない金額を相続人が相続分に応じて負担する(受け取る遺産から払う)ことができれば、円満に解決できるでしょう。
つまり、遺産から葬儀費用や香典を清算するという考え方です。
このような考え方は、相続人全員が納得しやすく、実務上、家庭裁判所における遺産分割調停においても合意に至るケースが多いです。

しかし、実は、この扱いについては明確な法律上の根拠がありません。
近時の裁判例では、香典で足りない金額については遺産から清算できず、喪主が負担するといった結論をとるものが散見されます。
その理由としては、葬儀費用は、あくまで死亡後に喪主が契約をして発生した債務であり、故人の債務とは言えないというものです。
葬儀会社を頼んだ人が責任をもつべきということです。
もちろん、遺産の中から清算をすると判断した裁判例もあります。
重要なのは、葬儀費用の負担をどうするかについては明確なルールがなく、相続人によっては考え方が異なるため、後でもめるかもしれないということを事前に認識しておくことです。
喪主になったとはいえ、一人で進めるのではなく、相続人間で合意しながら進めていくのが良いでしょう。


4 法要や納骨費用は、だれが負担するか。

仏式の葬儀の場合、通常、「通夜」「葬儀・告別式」「出棺・火葬」「初七日」「四十九日」「焼骨の埋蔵・収蔵」という順に行われます。
葬儀費用を遺産から清算するとしても、どこまでの費用を清算するべきなのか争いがあります。葬儀費用の範囲の問題です。
例えば、四十九日法要や納骨代は、葬儀費用として清算できないとした裁判例があります。
一方で、納骨までが一連の葬儀として必要な行為ですので、葬儀費用に含めるべきという見解もあります。

また、墓地代や納骨堂の費用については、これは葬儀費用ではなく、祭祀承継者が負担するという見解があります。
しかし、遺産分割調停の実務上、故人への思いから、墓地代や納骨堂の代金、永代供養費もあわせて清算していることも現状では多いです。

このように、どこまでが葬儀費用として含まれ、遺産から清算されるべきかについて、考え方は十人十色です。
今後は、墓地や納骨に対する価値観が変わってきていますので、遺産から清算することができない事例が増えていくと考えられます。
昔は、家督相続人が遺産を引き受け、喪主をしていたので、葬儀費用に関する問題は起きなかったのですが、相続権が平等になった一方で、葬儀費用に関しては喪主が契約をしたのだから負担するべきという契約責任が採用され、親族間でもめることが増えています。
このようなことがないよう、例えば、墓を守る祭祀承継者には多く財産を渡すよう遺言書を作成するなど、用意をしておくと良いでしょう。


5 記録・清算のポイント

  • 誰が喪主になるのか、きちんと協議する。
  • 遺産や香典の管理用の口座を決める。
  • 明細書や領収書を管理する。領収書がなければ、帳簿を作成する。
  • 墓石費用など高額な支払について同意が得られない場合には、立て替えを検討する。

葬儀費用を、喪主の負担とする裁判例が確かに存在しますが、これらの紛争は、自分たちが何の相談も受けずに実施された葬儀費用を負担することについて感情的な反発がきっかけで、事件化したものです。
葬儀の内容を共有しつつ、お金の流れを明確にすれば、相続人間で、葬儀費用を清算する合意ができやすくなります。

また、葬儀に関する費用の範囲は、人によって考え方が大きく分かれます。
墓石も当然必要という考えもあれば、納骨堂でよいという意見もあります。
意見が対立する支払を、遺産から支出すると、ますます、紛争化してしまいます。

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