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配偶者の遺留分と相続分は?夫が死亡したときの妻の権利を弁護士が解説

相続手続き・遺産の分け方(遺産分割・遺留分) 2022.08.17

1 はじめに

妻の権利は、まず、夫に遺言書があるかないかで、大きく分かれます。

遺言書がある場合、原則、その遺言書に従って遺産を分配します。遺言書に従った結果、妻の遺留分(遺言でも奪えない最低限の取り分)を下回る場合には、例外的に、遺言書で多く遺産をもらった人から妻に対して、お金を返してもらいます。

一方、遺言書がない場合には、配偶者以外の親族の構成によって、配偶者の取り分が変わります。これを相続分といいます。

このように、妻の遺留分と相続分は、両方、妻の取り分を示す言葉ですが、遺留分が遺言書による配分方法を修正するための例外的な概念であるのに対して、相続分は、遺言書がない場合の配分割合を示す概念です。

遺言書はないことの方が多いですので、遺言書がないケースから先に解説していきます。

2 相続分の計算例(遺言書がないケース)

妻の相続分は、民法900条という条文に規定されています簡単に説明すると、以下の整理となります。

〇子供がいるケース(子供が死亡しているときは、孫や、ひ孫を含む。)

→ 妻の相続分 50%   (2分の1)

〇子供がおらず、夫の親が生きているケース

→ 妻の相続分 66.6% (3分の2)

〇子供もおらず、夫の親も亡くなっていて、夫のきょうだいやその甥や姪がいるケース

→ 妻の相続分 75%   (4分の3)

〇子供も、夫の親も、夫のきょうだいも、夫のきょうだいの甥も姪もいないケース

→ 妻の相続分 100%  (1分の1)

 

きょうだいや、甥や姪がいる場合には、妻の相続分が100%ではないという点は注意が必要です。ただし、これは、あくまで話合いがつかなかった場合の分配の割合ですので、当事者間でこれと異なる合意をすることは可能です。ただし、合意したことを証明しないと金融機関は応じてくれないので、合意内容を示す遺産分割協議書などは作成する必要があります。

遺産分割協議書の作成方法については、こちらの記事をご覧ください。

 

なお、妻の相続分には、上記のとおり、孫やひ孫や甥や姪といった登場人物も関係してきます。どうして、この人たちが相続人になるのかという相続人の範囲の解説については、こちらの記事をご覧ください。

 

3 遺留分の計算例(遺言書があるケース)

夫が遺言で妻に相続させない遺言書を書いた場合、妻の最低限保障されるべき遺留分を侵害するため、妻の取り分を調整する必要があります。

妻に相続させない遺言書を書くのかと疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、すでに夫婦関係が破綻していたり、夫が生前に愛人がいれば、こういったケースもあり得ます。また、そもそも、生前に、夫婦で別々に財産を管理していたので、死後に夫婦間でお金を移動させるべきではないという考え方もあるでしょう。

それでは、ケース別に遺留分の計算方法を解説していきます。

(1)子供に遺産をすべて相続させる遺言があった場合

妻の遺留分の計算は、法定相続分の半分という決まりがあります(民法1042条)。

先ほどの説明したとおり、子どもがいる場合の妻の法定相続分は50%(2分の1)でした。

50%の半分は25%です。したがって、遺留分は25%(4分の1)です。

そのため、例えば、夫が子供に全ての遺産を相続させる遺言書を作成しても、妻は25%の範囲で、お金を返してもらえます。

(2)子供もおらず、夫の親も亡くなっていて、夫のきょうだいやその甥や姪がいるケース

妻の遺留分の計算は、法定相続分の半分という決まりがあります(民法1042条)。

先ほどの説明したとおり、きょうだいやその甥や姪が相続人となるケースでの妻の法定相続分は75%(4分の3)でした。

75%の半分は37.5%です。したがって、遺留分は37.5%(8分の3)です。

そのため、例えば、夫がきょうだいや愛人などの第三者に、遺産を相続・遺贈する内容の遺言書を作成していても、妻は37.5%の範囲で、お金を返してもらえます。

 

遺留分には、遺留分侵害の事実を知ってから1年以内という期限があるので注意が必要です。

遺留分の期限についての解説記事はこちらをご覧ください

 

4 全ての遺産を配偶者に相続させることの懸念点

親の相続については、配偶者が生存している場合には、とりあえず、全ての遺産を配偶者に相続させるという分け方も多くとられています。それが一番もめないからです。

しかし、この手法には2つほどの経済的なデメリットと1つの将来的な不安が残ります。以下のような懸念点も考えながら、遺産を配分しましょう。

4-1 登録免許税が2回かかる。

直接、子どもに相続させれば、不動産の名義変更の費用が1回で済みますが、配偶者を経由すれば、子どもに名義変更するまで2回かかることになります。

4-2 相続税が余計にかかることも

相続税は、遺産が基礎控除額(3000万円 + 法定相続人の人数×600万円)の範囲なら、かかりません。

そのため、父と母の財産が3000万円ずつであれば、父の相続税も、母の相続税もかかりません。

しかし、もし、父の遺産を全て母に相続させれば、母の相続時には遺産が6000万円となって、相続税が発生するおそれがあります。

4-3 不動産や株式の管理者は配偶者でいいのか

普通に考えれば、子どもより配偶者の方が先に体力的にも判断能力も劣っていきます。

そのため、管理が必要な不動産が多くあったり、経営に参加している株式が多くある場合に、それらの資産を全て配偶者が管理していくこが、困難である場合もあります。

5 遺産の交渉や遺言書の作成は弁護士へ

妻にとっての一番の紛争解決手段は、生前に配偶者に有利な遺言書を作成しておくことです。

また、遺言書がない場合には、法定相続人との交渉が必要です。自分の子供であれば、話合いも簡単かもしれませんが、前妻との子であったり、婚外子や、甥や姪が当事者と入ってくると、疎遠などの理由で、話合いが進まないこともあります。

さらに、妻に不利な遺言書がある場合には、遺留分を交渉していく必要があります。

これらの手続きについては、全て、弁護士がサポートすることが可能ですので、お気軽にご相談下さい。

以下のようなケースでは、弁護士に依頼することで、相続問題を解決できる場合があります。

  • 交通事故や労災事故で死亡したので損害賠償請求をしたい。
  • 相続人と連絡がつかない
  • 遺産として何があるかが分からない
  • 遺言書の内容に納得ができない
  • 生前に多くの贈与がされており残った遺産だけでは平等ではない
  • 不動産の分け方がきまらない
  • 株式の分け方がきまらない
  • 会社が保険料を払っていた生命保険があるけれど会社と話がすすまない
  • 供養の費用でもめている
  • 調停や裁判の代理をしてほしい
  • 相続の放棄をしたい

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