内縁の妻に相続権はあるの?内縁の妻が遺産を取得する方法を解説!
内縁の妻に遺産が分配されないケースは多い。
遺言書がない場合に遺産を当然に取得できる人を法定相続人と言います。
法定相続人(遺産を相続することができる人)は、法律で限定されています。
婚姻をしている配偶者は、子や兄弟の有無にかかわらず、常に相続人になることができます。
(配偶者の相続権)
民法890条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。
一方で、婚姻をしていない内縁の妻については、民法の「配偶者」には該当しないため、相続人にはなりません。
たとえば、内縁の夫に子がいないまま死亡した場合でも、内縁の夫の遺産は、その夫の親や兄弟に相続され、内縁の妻には相続されません。
民法の改正により、令和元年7月1日以降の相続について、相続人以外の「親族」が無償で療養看護などをしていた場合に、一定の金銭を相続人に請求できるという「特別寄与料」という制度が創られました(民法1050条)、この制度も、権利の主体は「親族」に限定されており、親族には「内縁」は含まれていません(民法725条)。
したがって、やはり、内縁の妻には遺産の相続権はないのです。
内縁の配偶者が財産を取得する方法は?
しかし、法定相続人でなくとも、内縁の妻が「法定相続人」とは違う立場で、財産を取得する方法はいくつかあります。
1 生前に遺言書を書いてもらう。
誰に対しても遺言書で遺産を贈与すると取り決めることは可能です。
例えば、交際期間が1か月でも、問題はありません。
2 生前に贈与してもらう。
遺言書は後から書き直すことも可能です。そのため、内縁関係が解消された後に撤回される可能性もあります。生前に贈与をしてもらえるのであれば、後から取り返されることはないので、遺言より確実に受け取ることができます。
3 生前に内縁関係を解消し財産分与を求める。
遺言書や生前贈与をしてくれない内縁の夫もいると思います。そういった場合、内縁関係の解消を求め、双方の内縁開始から増えた二人の財産を半分に分けることを求める財産分与手続きの調停をすることが考えられます。
内縁の妻に相続権は認められていませんが、生前の財産分与は認められているのです。
4 相続人と交渉して受け取る。
相続人も事情を説明すれば、財産を譲ってくれる場合があります。
例えば、葬儀費用を内縁の妻が負担した、内縁の妻の親族からの贈与が夫の遺産に含まれている、夫は収入が低く内縁の妻が夫の名義で貯金をしていた、他の相続人と内縁の妻の人間関係が良好である等の事案では、きちんと説明をすれば、相続人も譲渡に応じることも少なくないと思われます。
5 相続人が誰もいないという例外的なケースで、相続財産管理人の申立てをする。
子も兄妹も親もおらず、相続人が1人もいない場合に、その遺産は国庫に帰属することになりますが、国庫に帰属する前に、生前に特別の縁故がある者に遺産を分配する手続きがあります。相続財産管理人の選任申立て後にある特別縁故者への分与という制度です(民法958条の3)。
生前の話合いが重要
以上のように、内縁の妻に相続後に認められている権利は、弱いものと言えます。
きちんと、生前に話合いをしましょう。