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夫が亡くなった後の義理の両親との関係はいつまで続くの?弁護士が姻族関係終了の届出と相続関係を解説。

相続の放棄 2017.12.03

問題となるケース

最近、夫の体調がよくありません。万が一、主人に相続が発生した場合、私が義理の両親の面倒をみていく義務があるのでしょうか。

姻族とは?

結婚すると、配偶者の両親、つまり、義理の両親とあなたは、「姻族」という親族となります。姻族とは、配偶者の一方と他方配偶者の血族3親等までの人(ex義理の両親)、および、3親等までの自分の血族の配偶者(ex兄妹の配偶者)を指します。

扶養義務と姻族関係終了の届出を解説

姻族であるということは、法律上の効果として、一定の場合、扶養義務が発生するということです。扶養は、まずは、直系の血族(子供や孫)間で行うべきであり、また、兄妹がいれば兄妹間でも扶養義務が認めらています(民法887条1項)。

しかし、これらの方が扶養できない特別な事情がある場合には、姻族も法的な扶養義務を負うことがあります(民法887条2項)

縁を切るという言葉が、単に連絡をとりたくないという事実上の問題であれば、法律問題ではありません。しかし、扶養義務を負うことができないので姻族を終了させたいという要望であれば、「姻族関係終了の届出」を市役所で行うことで、実現することができます(民法728条2項)。姻族関係終了の届出とは、文字どおり、姻族としての親族関係を終了させる届出です。これによって、姻族ではなくなる、つまり、扶養義務を負う対象者でなくなるという効果があります

相続と姻族の関係

姻族の終了の届出は、死亡後に行うことによって、姻族関係を終了させるか、選択することができます。しかし、相続発生後に姻族関係を終了させるかという問題と、相続財産の分配をどのように行うかという問題は、リンクしていません。

例えば、極端な話をすると、夫の遺産は相続するけど、夫の両親との姻族関係は終了させるという選択や、遺産は放棄するけど姻族関係を継続させるという選択もできます。

姻族関係終了の届出は、あくまで、扶養義務を終了させるという効果はありますが、遺産の相続とは全く連動していない制度です。例えば、義理の両親から、ご主人が生前に譲り受けた不動産がある場合、夫に相続が発生すると、義理の両親より配偶者であるあなたに法定相続分が多く決められているので、あなたが優先して不動産などの遺産を相続することになります。こういった遺産の流れを止めるには、市役所に提出する姻族関係終了の届出では全く役に立たず、裁判所で相続の放棄といった裁判手続きを経る必要があります。